No.182 バイオ電池-電池の原点にカエル-
先週号(第181号)で引用した先輩が、最近、ソニーが酵素を使った電池でウォークマンを鳴らしたという話が、元生化学者としては、面白かったと知らせてきてくれました。
早速、ウェブで検索したところ、負極でグルコースの酵素分解によって生じた電子が外部回路を通って正極に流れる過程で電気エネルギーとして利用されること、電子の片割として負極で生じたプロトンがセロファンのセパレーターを通って正極に到達し、そこで酵素的に酸素を水に還元するといった基本構造になっていることが分かりました。そして、この技術の特徴はセンサー技術に限りなく近い複数の巧妙な電極加工技術にあり、それにより世界最高の出力を実現したのだということが分かりました(注1)。リチウムイオン電池でややありがたくない勇名を馳せたソニーが、今度は安全なバイオ電池の開発で一里塚を築いたわけで意を強くした次第です。記事の中に「京都大学農学研究科の指導で開発した」という記載がありましたが、これにはピンと来るものがありました。
ポーラロで有名な電気化学の研究室だろうと思ったら図星でした。その研究室とは、1959年のノーベル化学賞を受賞したチェコのヘイロフスキー教授が、その受賞講演で、共同研究者としてとくに名前を挙げて賞賛している志方益三教授によって1925年に開かれた林産化学講座です。現在はその4代後の方が引き継いでおられ、講座名も生物機能化学講座になっていますが、同講座を紹介したホームページ(注2)に、「生理学者のガルバーニが動物電気説を提唱し,それを批判的に追試したボルタが電池を発見したのだから,電気化学と生命科学は表裏一体の形で発展してきた」という興味ある歴史が紹介されています。
ガルバーニは、カエルの解剖の実験をしている時に2種類の金属からできたメスをカエルの神経にあてると、カエルの脚が生きているかのように動くことを発見しました。この現象について、ガルバーニ自身は生物の中に電気があると考え、「動物電気」と名付けましたが、その後、ボルタが、電解液の中に異種の金属を入れることによって電位差が生じることを証明し、それが「電池」の発明につながったとのことです。19世紀夜明け頃のイタリアが舞台でした。ボルタの功績は電圧のボルトという単位の名前で残っています。(I)
注1: http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200708/07-074/index.html 注2: http://www.chem.sci.kobe-u.ac.jp/~osakai/Ikeda-lab/Ikeda-lab.html
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ポーラロで有名な電気化学の研究室だろうと思ったら図星でした。その研究室とは、1959年のノーベル化学賞を受賞したチェコのヘイロフスキー教授が、その受賞講演で、共同研究者としてとくに名前を挙げて賞賛している志方益三教授によって1925年に開かれた林産化学講座です。現在はその4代後の方が引き継いでおられ、講座名も生物機能化学講座になっていますが、同講座を紹介したホームページ(注2)に、「生理学者のガルバーニが動物電気説を提唱し,それを批判的に追試したボルタが電池を発見したのだから,電気化学と生命科学は表裏一体の形で発展してきた」という興味ある歴史が紹介されています。
ガルバーニは、カエルの解剖の実験をしている時に2種類の金属からできたメスをカエルの神経にあてると、カエルの脚が生きているかのように動くことを発見しました。この現象について、ガルバーニ自身は生物の中に電気があると考え、「動物電気」と名付けましたが、その後、ボルタが、電解液の中に異種の金属を入れることによって電位差が生じることを証明し、それが「電池」の発明につながったとのことです。19世紀夜明け頃のイタリアが舞台でした。ボルタの功績は電圧のボルトという単位の名前で残っています。(I)
注1: http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200708/07-074/index.html 注2: http://www.chem.sci.kobe-u.ac.jp/~osakai/Ikeda-lab/Ikeda-lab.html
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