京都市地域結集型共同研究事業  
ナノメディシン拠点形成の基盤技術開発
 

研究開発テーマ2 ナノテク材料による医療用イメージングとターゲティング技術開発

[ 目標 | 研究開発の内容 ]

研究開発の内容

 病変部位だけに集まるナノ材料を使い、それを画像化できる性質を活用することで病気を確実に発見する。 さらに、薬を運ぶ機能まで持たせることで、治療効果を高める。そのような技術を開発するため、次のような研究開発を行っています。

1.刺激応答性ナノ磁性粒子の開発

 刺激応答性磁性ナノ粒子は、pHや温度などの外部環境の変化により、可逆的に集合体を形成します。体内の生理的条件で集積性を 変えるという例はこれまでになく、その実現はMRIに感応する医療材料として革新的な技術・材料を提供することになります。
 イミダゾリウムカチオンで酸化鉄ナノ粒子を被覆することにより、実験動物に対して低毒性の水溶性ナノ粒子を得ました。また、逆ミセル法を改良して、表面をオレイン酸で被覆した酸化鉄ナノ粒子分散水溶液にテトラエチルオルソシリケートを添加する手法により、均一で粒径制御されたシリカシェル酸化鉄コアナノ粒子の作製法を開発し、基盤磁性材料として【2.】【3.】【4.】のプローブとの融合に供します。

基盤磁性ナノ粒子

2.腫瘍特異的プローブの開発

 低酸素生理環境や酸性環境といった腫瘍特異的環境に応答し、蛍光発光などイメージング機能を発現する高精度なイメージング用 診断プローブの分子設計と合成開発を展開しています。こうした技術開発を通じて、新たなガン診断手法を提案したいと考えています。
 疾患細胞特異的結合因子としてガン細胞特異的結合因子を付加すれば、【1.】【3.】【4.】との組み合わせにより、より腫瘍選択的なイメージ ング・ターゲティング材料・技術開発の実現が図れます。

腫瘍特異的プローブの開発

3.低酸素特異的融合タンパク質によるナノ複合材料の開発

 自己デリバリー能を付加する膜透過性PTDドメインと、低酸素状態で安定するODDドメインを機能ドメインに融合することで、さま ざまな機能を持つ低酸素特異的融合タンパク質の構築が可能です。PTD融合タンパク質に標的特異性を付加した例はこれまでになく、 新しい技術・材料開発につながります。
 腫瘍内低酸素領域や虚血組織細胞に効率よく届けられ、低酸素特異的に安定化する融合タンパク質を開発するとともに、さまざまな 機能を持たせることにより、イメージングプローブやターゲティング製剤を開発中です。

3つのドメインを持つ融合タンパク質

4.分子イメージングとDDS機能を併せ持つペプチドナノキャリアの開発

 生体毒性の少ないポリペプチドを使い、粒径100nm程度のベシクル※3構造を持つナノキャリア(ペプトソーム)を用いた新規DDSを開発しています。このナノキャリアは、イメージングのためのプローブや薬剤、ターゲティングのための化合物で修飾できるプラットフォームとして設計されています。
 開発済みのナノキャリアは薬剤含浸性にすぐれ、表面を多様な機能で修飾可能です。そのため、【3.】のPTDによるデリバリー能と標的 特異性付加で、新規DDS素材の開発が可能となります。

分子イメージングとDDS機能を併せ持つペプチドナノキャリアの開発

※3  球殻状に閉じた膜構造を有する小胞