お知らせ

株式会社aceRNA Technologies
特定の細胞種を迅速かつ簡単に選別できる試薬
「RNAスイッチ™」シリーズの販売開始について

京都発革新的医療技術研究開発助成金活用事例

 京都市及び(公財)京都高度技術研究所では、市内の大学研究者及び中小・ベンチャー企業を対象として、新たな医療機器や医薬品等の革新的な医療技術に関する研究開発を支援する「京都発革新的医療技術研究開発助成事業」を実施しています。
 この度、株式会社aceRNA Technologies(京都市左京区)が、平成30年度京都発革新的医療技術研究開発助成金を活用して研究開発に取り組まれた成果を基に、革新的な細胞選別試薬の製品化に成功し、販売を開始しますのでお知らせします。

1 製品について

(1)名称 : 「RNAスイッチ™」シリーズ
・Control detector RNA Switch™(検出用コントロール、導入効率の確認)
・CM detector RNA Switch™(検出用(心筋細胞))
・iPSC detector RNA Switch™(検出用(iPS細胞))
・CM purifier RNA Switch™(選別用(心筋細胞))
・iPSC purifier RNA Switch™(選別用(iPS細胞))
・iPSC eliminator RNA Switch™(除去用(iPS細胞))
・puro resistant mRNA(ピューロマイシン耐性)

細胞選別前       細胞選別後
パッケージング  RNAスイッチ™による細胞選別の結果

(上図右、RNAスイッチによる細胞選別前の “ ” で示した部分は、排除すべき未分化のiPS細胞。選別後にはなくなっています。)

(2)概要、特徴

 本製品は、京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英教授らが発明した技術を基盤とした、特定の細胞種だけを識別または選別することができる試薬です。この試薬を細胞に導入するだけで、特定の細胞種以外の細胞が死滅するため、細胞選別用の特殊な機械(セルソーター等)を使用することなく所望の細胞種のみを迅速かつ簡単に選別することが可能です。

(3)製品開発の背景

 iPS細胞から分化・誘導した細胞には、未分化状態の細胞も残っており、未分化細胞をそのまま放置しておくと、望まない細胞に分化する可能性があります。そのため、目的の細胞に分化・誘導した細胞だけを選別する必要があります。
 従来の技術では、細胞選別に膨大な時間とコストが掛かっており、今後の医療の発展のためには、より安価で効率的な細胞選別方法が求められています。
 この課題を解決するため、本助成事業を活用し、開発に取り組まれました。

(4)特許    : PCT国際出願済み
(5)販売開始日 : 令和元年6月末日(予定)
(6)共同販売元 : ナカライテスク株式会社
(7)問合せ先  : 株式会社aceRNA Technologies 製品管理部 TEL:075-757-6234

2 今後の展開

 「RNAスイッチ™」は様々な細胞種の選別に適応できるため、同社は順次、対応する細胞選別試薬のバリエーションを追加し、さらに、共同研究等を通して、再生医療用の細胞に使用できる細胞選別試薬を提供していく予定です。

3 会社概要

代 表 者 : 代表取締役 進 照夫
設   立 : 平成30年4月17日
従 業 員 数 : 4名
所 在 地 : 京都市左京区吉田下阿達町46-29 京都大学医薬系総合研究棟 
        イノベーションハブ京都
資 本 金 : 23,125千円

(参考)

〇「RNAスイッチ™」の原理

 「RNAスイッチ™」とは、マイクロRNA(miRNA)を認識する配列と蛍光タンパク質や自殺遺伝子などのマーカー遺伝子を含む人工的に作製したメッセンジャーRNA(mRNA)を指しています。miRNAは、細胞内に存在し、様々な生命現象に関わっていると言われており、その数は約2,700種類に上ると報告されています。RNAスイッチ™は細胞内に導入された後、目的のmiRNAが存在すれば分解されますが、存在しなければタンパク質が発現し、蛍光タンパク質が光るあるいは細胞死するので細胞の識別・選別が可能になります。

〇京都発革新的医療技術研究開発助成事業の概要

1 目的
 京都市内の大学研究者及び中小・ベンチャー企業を対象に、新たな医薬品や医療機器の開発につながる革新的な医療技術に関する研究開発に助成を行い、新規事業展開等の「きっかけ」を提供し、医療分野における新技術・新産業の創出を図る。
2 対象事業
 次世代医療分野(医療機器・医用材料、医薬品・診断薬、体外診断薬・機器等)や健康・介護・リハビリ分野等における革新的な医療技術に関する研究開発。
3 助成率・助成金額
(1) 助 成 率:10/10
(2) 助成金額:上限100万円
(ただし、大学研究者で間接経費を含む場合は、上限130万円)

株式会社aceRNA TechnologiesHP

プレスリリース