お知らせ

平成29年度ライフサイエンスベンチャー創出支援事業
「KYOTO発起業家育成プログラム」
ベンチャー企業の創業について

 京都市及び(公財)京都高度技術研究所では、京都大学内に設置した「京都市ライフイノベーション創出支援センター」を中心に、ライフサイエンス分野の産学公連携による研究開発支援、事業化支援等を展開しています。
 平成29年度には、ライフサイエンス分野において大学内の技術シーズ(種)の事業化を目指す大学発ベンチャーの起業促進に向けて、ビジネスモデル構築等を実践的に支援する「KYOTO発起業家育成プログラム」(以下、「プログラム」という。)を創設しました。
 この度、平成29年度のプログラムにおいて採択した案件から、下記のとおり、クアドリティクス株式会社及び株式会社aceRNA Technologies(アセルナ テクノロジーズ)の2社のベンチャー企業が京都市内に創業しました。また、京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下、「京都iCAP」という。)と連携した支援に取り組み、株式会社aceRNA Technologiesが、京都iCAPからの資金調達に至りましたのでお知らせします。

広報発表

◆クアドリティクス株式会社

設立会社の概要

商 号:クアドリティクス株式会社(Quadlytics Inc.)
設 立:平成30年2月
所在地:京都市左京区吉田本町36-1 京都大学国際科学イノベーション棟
代表者:代表取締役社長 小林 紀方
資本金:3,000千円 

同社の技術・事業概要について  

 クアドリティクス株式会社は、京都大学 藤原幸一助教と熊本大学 山川俊貴助教の研究成果を基に設立されたベンチャー企業で、ウェアラブルデバイスによる高精度生体信号計測と多変量解析・機械学習技術を駆使したリアルタイム解析技術を基盤とした事業を展開する。また、この技術を活用したてんかん発作予知の研究開発から生まれた、「リアルタイム心拍変動(heart rate variability; HRV)解析技術」は、てんかんのみならず,睡眠時無呼吸症候群(SAS)、熱中症、脳卒中、レビー小体型認知症、ストレス、うつといった幅広い疾患のモニタリングやスクリーニングに有用であると考えられ、研究開発を進めている。
 このようなリアルタイム解析技術、またそれらを活用した疾患のモニタリングやスクリーニングにより、「ほんの少し先の未来」を予測し、社会課題解決に向けた同社の取組に大きな期待が寄せられている。

◆株式会社aceRNA Technologies

設立会社の概要

商 号:株式会社aceRNA Technologies
設 立:平成30年4月
所在地:京都市左京区吉田下阿達町46‐29
    (京都大学医薬系総合研究棟 イノベーションハブ京都)
代表者:代表取締役 進 照夫
資本金:5,000千円

同社の技術・事業概要について  

 同社は、京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英副所長が開発した人工RNA分子によるプラットフォーム技術(以下「RNAスイッチ」)により、再生細胞医薬品の精製や創薬事業を行う企業である。
 iPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞は、分化工程を経て再生細胞医薬品として用いられる。分化工程で未分化の幹細胞が残存すると癌化の危険性があるため、iPS細胞やES細胞の実用化には、未分化幹細胞の除去技術が必須とされている。また、分化細胞を安全かつ均一に精製することも必要である。RNAスイッチは未分化細胞を選択的に殺傷もしくはラベリングすることが可能で、分化細胞の大量生産にも応用できることから、再生細胞医薬品の安全性や品質を向上させる重要な技術として、医療への貢献が期待されている。

京都iCAPからの資金調達について

 同社は、今後のマイルストンの達成を前提条件とした第三者割当増資及び社債を割り当てる総額8,050万円の投資契約を京都iCAPと締結し、設立にあたり、50万円の投資を受けた。
 なお、本件は,京都iCAPが設立・運営している起業家のための組織である「Entrepreneur Candidate Club」(ECC-iCAP)の会員から経営チームが誕生した初めての事例となる。RNAスイッチの実用化に興味を持つECC-iCAPの複数の会員と齊藤教授ら研究者が、当プログラムを活用しながら事業化の議論を重ね、共同での創業及び資金調達に至ったものである。
※京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)について
 京都iCAPは、京都大学の 100%出資により、平成 26年 12 月に設立された。 京都大学に属する研究者による「知」(研究成果・技術等を含む)を事業化することを目的とする企業に、出資その他の支援を行っている。
※マイルストンについて
 最終的な到達点に向かうまでの通過点であり、物事の進捗を管理するために途中で設ける節目をいう。それぞれの時点で達成すべき事柄(達成要件)を設定しておく。

KYOTO発起業家育成プログラムにおける支援について

・メンター(※)によるハンズオン支援
(ビジネスプランのブラッシュアップやメール等での随時相談対応)
・ビジネスプラン構築に係る特許調査の実施
・会計士及び弁護士との面談支援
・会議室等活動場所の提供
※メンターについて
 課題解決に向けた作業の進め方や考え方,起業家としての心構えなど,支援対象者の業種・業態・成長フェーズを踏まえて,総合的な助言を与える者
※ライフサイエンスベンチャー創出支援事業「KYOTO発起業家育成プログラム」について
 京都市におけるライフサイエンス関連産業の育成を図るため,ライフサイエンス分野において大学等の技術シーズをテーマとしたビジネスモデルによりベンチャー起業を目指す人材に対し,ビジネスモデル構築等の支援を行うプログラム